一貫した家族経営の元、今や押しも押されもせぬグラン・メゾンとして世界に名を馳せている「ボランジェ」。創業者のドイツ人、ジャック・ボランジェ氏によって1829年にスタートした歴史あるメゾンですが、五代に渡って脈々と継承されてきた家族経営によって徐々に自社畑を拡大していった結果、現在は70%が自社の畑という、高い自社畑比率を保っているとのことです。
自社畑保有率が高いということは、作り出すシャンパーニュの質にももちろん良い影響を与えるわけで、同社が現シャンパーニュ業界のトップクラスに鎮座し続けられるのにも納得がゆくというものでしょう。
メゾンの拠点は、銘醸地として名高いアイ村。そして、かの地のグラン・クリュ、プルミエ・クリュで育つピノ・ノワールを主体に、存在感で一つ頭を抜きん出た逸品を世に送り出しているといいます。
「グラン・ダネ」とは「偉大な年」という意味の言葉で、その名が示すとおり、こちらはシャンパーニュのグレート・ヴィンテージにのみ造られるミレジメものです。セパージュ比率はピノ・ノワール65%にシャルドネ35%です。ちなみに1999年ヴィンテージの「グラン・ダネ」を評して、評論家のマイケル・ブロードベント氏は「色、精妙なリッチさ、余韻とも、卓越している」と褒め称えていますが、これはつい数年前の2007年のこと。今後まだまだ、その表情を妖艶に変容させてゆくに違いないボランジェの自信作です。