TSUZAKIレポート

ピエール・ジモネ テイスティングセミナー

ピエール・ジモネ テイスティングセミナー


コート・デ・ブラン産のシャルドネでブラン・ド・ブランを造り続けてきた稀有なRMシャンパーニュ生産者【ピエール・ジモネ・エ・フィス】。醸造責任者のディディエ・ジモネ氏が初来日!アジア初となるテイスティングセミナーを行いました。輸入元である(株)AMZ主催で行われたセミナーにTSUZAKIも潜入してきました。その模様をご紹介いたします。

ピエール・ジモネ テイスティングセミナー

まずは、少しピエール・ジモネ(以下Pジモネ)についてご説明しておきたいと思います。

シャンパーニュ地方で最高峰のシャルドネの産地コート・デ・ブラン地方。グランクリュは、ほぼシャルドネ品種に限られています。最高級とされるそのシャルドネの確保は大手メゾンにとっても最重要課題です。

そんな中、Pジモネはグランクリュ、クラマンとシュイイを有し、コート・デ・ブラン産のシャルドネ100%で造るブラン・ド・ブランを造り続けてきた稀有なRM生産者です。

チョーク質土壌が広がるコート・デ・ブランは、昔からシャルドネの栽培に適しているとしてシャルドネの銘醸地でした。しかし、彼らほどそのテロワールを純粋に表現しようとしている生産者はいないでしょう。その豊かなミネラルとしっかりとした酸、フレッシュさを保ったピュアなシャンパーニュからは彼らの信念すらうかがえます。

そう、「ミネラル感」「フレッシュさ」「ピュアさ」の3点を大事にし、テロワールをそのまま表現するのが彼らのスタイルとなっています。「コート・デ・ブランでコート・デ・ブラン産のシャルドネ100%のブラン・ド・ブランのみを生産してきた唯一の生産者であること」が彼らの誇りでもあります。

ピエール・ジモネ テイスティングセミナー

セミナーの冒頭、「日本はもとよりアジアでセミナーを開催するのも初めて!こんなに遠くでセミナーをするのも初めての経験で感動しています。」と語ったPジモネの醸造責任者ディディエ・ジモネ氏。佇まいに派手さはないですが、実直さと強い信念と経験に裏打ちされた自信がみなぎっているように見えました。

「ヴィニュロン(ブドウを栽培してワインを造る人)という職業が大好きで夢中で探求してきました。」通訳するのも苦労するほど、熱がこもった様子で話す姿に少し圧倒されてしまうほどでした。

この日、ディディエ氏は自身の畑から、実際のチョーク質の塊を持ってきてくれました。
「検疫で取り上げられないかと心配だったけどね(笑。」といたずらっぽく笑います。

畑の表土は40cm程度と薄く、その下は10m以上チョーク質になっていると言います。そのため、畑にはチョーク質の塊がごろごろしています。

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「実際に手に取ってみてください。」と来場者に手渡してくれたチョーク質の塊は、少しひんやりとしていて、手についた粒子はとても細かく、なめらかでした。ブドウの根は、このチョーク質からミネラルを吸い上げます。実は、ワインのミネラル感は、科学的な因果関係が証明されていません。ただ、不思議なことにワインにミネラルを感じることは誰もが認めるところです。

Pジモネのカーヴは、このチョーク質を掘って作られたもので、壁面は全てチョーク質。チョーク質がどれだけ深いのかがよくわかりました。

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Pジモネでは、そういったテロワールの特徴を純粋に表現するために一番大事にしているのが「スピード」です。

「調理と同じで新鮮な素材を素早く処理する早さが必要です。そのため、我々の醸造施設は畑のすぐそばにあります。ブドウを摘んですぐに圧搾することで酸化を防ぎ、フレッシュさを保つことができます。」

実際に、Pジモネでは、収穫から圧搾までは6時間以内。圧搾から24時間以内に低温で清澄し、収穫から2日以内に発酵工程に移ると言います。何ともスピード勝負なのです。圧搾したら何も手を加えないんだとか。それがピュアさにつながるそうです。

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そして、もう一つ大切なのが「フレッシュさ」です。「スピード」にこだわるのも「フレッシュさ」のため。シャンパーニュでは、異なる年の異なる区画から造られたワインをブレンドするアッサンブラージュが唯一許されたワインです。そのアッサンブラージュに必要な非発泡性ワイン「ヴァン・ド・レゼルヴ」の貯蔵方法にも気を遣っています。

通常、ヴァン・ド・レゼルヴはステンレスタンクで貯蔵されます。Pジモネでは、マグナムボトルに詰替えて貯蔵しています。この方法は、伝統的な方法ですが、手間がかかりすぎるという理由ですたれてしまった方法です。今でもこの方法を行っている生産者はほとんどいません。それでも、「フレッシュさ」を保つためには必要だと考えています。

「ボトルに詰め替えることで酸素に触れる量がすくないので酸化を抑えることができます。さらに、ヴァン・ド・レゼルヴは、シュールリーで2年以上横にした状態で貯蔵させます。澱と触れ合わせることで、ワインに栄養が与えられ、程よく複雑味も生まれます。」

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そうしてフレッシュさを保ったヴァン・ド・レゼルヴを使い、ほぼすべてのキュヴェにプレミエクリュ「キュイ」産のキュヴェをブレンドしています。「キュイ」のブドウは、酸が強めで、フレッシュな果実味に富んでいます。これが、ジモネスタイルのベースとなっているのです。

ディディエ氏はこう語ります。
「シャンパーニュというのは、絶対にアッサンブラージュして造らなければならないと信念を持っています。シャンパーニュはバランスが重要だからです。そのため、どれだけ大事なキュヴェであっても自分たちのスタイルのベースとなる「キュイ」のキュヴェを絶対に加えています。どれかひとつ突出したキュヴェを造ることでバランスが崩れるようなことは絶対にしたくないからです。」

たとえば、それが高品質志向のRM生産者が集まり組織された「クラブ・ド・トレゾール」が厳しい審査を行い、クリアした物だけがミレジムでリリースする「スペシャルクラブ」であっても同じです。その理由は、彼らのスタンダードキュヴェ「キュヴェ キュイ プルミエクリュ ブリュット サンザネ NV」を飲めばよくわかります。

「どのキュヴェよりも大事に考えているキュヴェで、何よりも先に取り掛かるのはこのキュヴェ造りです。」

サンザネは、Pジモネで収穫されたすべての区画のブドウをブレンドしています。とてもフレッシュでミネラルが豊か!キレも抜群!なんとも後口が爽快で、しかもエレガント。

「テロワールの恵みであるチョーク質由来のフレッシュ感やミネラル感を大切にしたいのです。食事の邪魔をせず、ライトで食欲がわくようなシャンパーニュを目指しています。だから、トロっとしたような飲み疲れるシャンパンは絶対に造りたくありません。」

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ディディエ氏がシャンパーニュ造りで大切にしていることが3点あるそうです。

1.食事の邪魔をしない
2.長期熟成に耐えられる
3.テロワールを素直に表現する

だからこそ、「フレッシュであること」を追求してきたのでしょう。
「フレッシュだから食事と一緒に楽しめる」「フレッシュだから熟成しても味わいが崩れない」「テロワールの特徴だからフレッシュさを大事にする」。見事なまでに一本ピシッと筋が通っています。本当に根っからの職人なんだなと痛感いたしました。

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「テロワールのポテンシャルを100%引き出せる力があること。そして、ピュアにテロワールを表現するということ。それらは、ヴィニュロンとしての魂が込められているということです。それが明らかにネゴシアンとの違いだと断言できます。」

シャンパーニュ地方各地の畑からブドウを集めて造り上げる大手メゾンとは真逆の道を貫き、高い評価を得てきたという自負がみなぎる職人としての言葉のように感じられました。

「どうか私がどのキュヴェを好きかは聞かないでください。全て私の子供だからです。」とほほ笑んだディディエ氏。テイスティングしてみると確かにどのアイテムにも共通して「フレッシュさ」「爽快さ」「ミネラル感」「エレガントさ」が感じられました。和食との相性もとてもよさそうです。

「私のシャンパーニュ造りの哲学や情熱を感じ取っていただけたら嬉しいです。今日はありがとうございました。」
とセミナーを締めくくりました。魂のこもった真のヴィニュロンでした。

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